もの食う人々

 高等部1年は辺見庸の「もの食う人々」という単元を学習している。筆者が共同通信の記者として各国に派遣されたときの人々の食生活を書いた作品である。この日本の豊かな食生活の中にあって、各国の人々がどのような食生活をしているのかを取材した話である。
インドではホテルの残飯が人々の食事の一部になっている。インドではそれでも食べられない人もいる。フィリピンのアエタ族はピナトウボ火山の大爆発で山中の豊かな生活から一転して再定住地での生活を余儀なくされる話。食事は先住民として豊かな山の自然の食生活であったが、この再定住地では援助物資による加工食品を食べる毎日であり、彼らの味覚の葛藤が起こっている様子が書かれている。現代文明の食生活は果たして本当に豊かな食生活といえるのかという問題提起をしている作品である。この問題提起に対して生徒たちがどのような考えを持つのか考えさせてみたいと思う。
もの食う人びと (角川文庫)